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ジャコメッティ展 [アート]

先日、夜中に寝返りを打つとビッ!という音と共にパジャマの背の部分が破れた。

長年愛用し続け、生地が薄くなったところに負荷がかかったらしい。

替えはあるが、背中にスリットが入っていたら夏場は涼しいかも、とふと思う。

社会的に許されるものなら、腰蓑だけで暮らせたらいいのにと思うこともある。

そういえば、功労者の銅像や聖人・仏像などは別として、彫像は最小限または全く

衣類を纏っていないものが多いのは、肉体美を強調するためだろうか。

前置きが長くなったが、ジャコメッティ展が本題なのだった。


場所は乃木坂の国立新美術館。何度行っても写真で遊びたくなる建物だ。


庭の緑とウッドデッキも建物に合わせて曲線が取り入れられているのがいい。


また話が逸れたが、没後半世紀となるジャコメッティの大回顧展である。

アフリカの木彫人形のような細面に、針金のように長く伸びた体が特徴的。

虚飾を削ぎ落とし存在の本質を突き詰めたような姿は、孤高の精神性を感じさせる。


ポキンと折れてしまいそうな細い彫像は、不思議なことに岩から生まれたような

ゴツゴツした無骨さも兼ね備えていて、対象者が生きてきた年月をも感じさせる。

子供の頃岩石でできた洞窟で遊んでいたことも多少は影響しているのだろうか。


よく言われるが、ジャコメッティの作品は夕陽に照らされた人の影に似ている。

光の角度で変わる影の伸び具合、生命力を感じる根っこのような大きい足。

そして、この女性の切ない表情。。何を思い、前をみつめているのだろうか。

か弱いけれど、強い人。寂しいけれど孤独に耐えてきた人。

いや、逆に強がっている人の内面の不安を現わしているのかもしれない。

肉体美を誇る彫刻とは対照的だが、長すぎる首や傾いた姿勢までもが美しい。

IMG071312.jpg

見えるものを見たままに作ろうとしたらマッチ箱に入る小さい作品群になったり、

先端恐怖症の人にはそう見えるのでは、と思うような棒のように長く尖った鼻の人物。

まるで骨がぼろを纏っているような、お腹をすかせてうなだれた犬。。

                 ※

キュビスム、シュルレアリスムとの関りがある初期の作品も展示されている。

個人的に最も興味深かったのは日本人哲学者、矢内原伊作との関係だ。

互いに尊敬し信頼し、語り合いながら200日以上も辛抱強くモデルをつとめた

らしい。矢内原の語るジャコメッティの制作の様子やスナップは貴重であり、

そうして出来た矢内原の像は、思索し続けた人の確かな存在感に溢れている。

                  ※

撮影できる部屋もあり、比較的空いていてゆっくり眺められるのでおすすめです[手(チョキ)]

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