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ムットーニ・パラダイス [アート]

久しぶりに新宿から各駅停車の京王線に乗りました。[電車]

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学長先生のご自宅にお邪魔したことがあった代田橋、

昔好きだった人が住んでいた笹塚(笑)、乗り換えに使っていた明大前

・・と通り過ぎる間に思い出しつつ、目的地の「芦花公園駅」で下車。

(前置きが長い![パンチ]


駅から徒歩5分の世田谷文学館で、自動からくり人形作家・武藤政彦さんの

「ムットーニ・パラダイス」展が開催されており、とても楽しみにしていました。http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

改修後のリオープン記念との事ですが、美しい建物とお庭に驚きました。

練馬の美術館やこちら等、昨今の公立施設の充実ぶりにはビックリです。

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2階の展示室に入ってすぐ、壁際に柱時計が並んでいるのが見えます。

その振子は普通の時計よりずっとゆっくりと時を刻み、光が揺れています。

カチ・・・コチ・・・カチ・・・コチ・・・

現実とは異なる時間軸に迷い込むことを暗示するような導入部分。

日常の喧噪から離れ、全てがゆっくり動く夢の世界に誘われていきます。

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(展示された作品は撮影禁止なのでポスターだけなのですが)


レトロなボックスに取り付けられたスピーカーから5分程の曲が流れます。
それに合わせてわずかに揺れ、回転し、天上に昇るアナログな動きの
素朴な人形達が、どこかノスタルジックな物語を作り出しています。
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文学館らしく、文学をテーマにした作品も多く展示され、
(やや声がこもって聞き取りにくいけれど)小説の朗読が付いています。
萩原朔太郎の「猫町」、中島敦の「山月記」、村上春樹「眠り」
中原中也「地極の天使」より「アトラスの回想」..
本で読んでいたものも、改めて耳で聞くとインパクトが違います。
芥川龍之介「蜘蛛の糸」のカンダタや、
夏目漱石「夢十夜 第七夜」の漂流者は、没個性的な背広姿。
どこにでもいる誰かであり、自分の姿でもあると思わされます。
カンダタは展示期間中ずっと希望と絶望を繰り返すのですね(><)
私が特に好きだったのは萩原朔太郎の「題のない歌」。
酒場の扉の向こうに赤錆びた汽船や
黒いドレスを纏い翼を付けた女性=「恋愛鳥の木乃伊」が
幻のように現れては消えていきます。
カヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲に合わせてゆっくりと
宇宙飛行士が宇宙空間を漂流する「アローン・ランデブー」は、
レイ・ブラッドベリの「万華鏡」から連想された作品。
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(図録を撮影。ピンボケ失礼)
宮沢和史さんの「書きかけの詩」に合わせて作られた
「スピリット・オブ・ソング」の寂しさ切なさも心に沁みました。
武藤さんがブラスバンドに所属していたからか
ビッグバンドものの陽気で賑やかな作品も幾つかあり、
「ジャングル・パラダイス」等大がかりなセットも楽しい。
見世物小屋的な骸骨やドラキュラも登場しますが、
どれも皆ユーモラスで温かみがあります。
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本展の図録はハードカバーで、内容も充実しています。
展示作品の写真はもとより、創作を始めたきっかけや苦労話など
AからZまでキーワードをとりあげてご自身が解説されています。
Genius(天才)、Hertz(変換器)の話が秀逸でした。
チープな感じと神聖さが入り交じるムットーニ作品の謎が
解けたような気がして、これは購入して正解でした。
隣のコーナーの音が筒抜けで、音が混ざってしまうのが残念ですが
多くの人に作品を見てもらう為には仕方ないのかな。
CGが当たり前の今、こういう手作り感は新鮮で貴重に感じます。
紙芝居や劇場にも似ているけれど、異なるのは
円環のように必ず最初と最後が繋がっていて、何度も再生され
命を吹き込まれては、再び元の静寂に戻っていく所でしょうか。
動きが止まってしまうと、まるで白昼夢を見ていたような
目の前で見たものは全て幻だったのではないか・・
というような、不思議な感覚にとらわれます。
からくり人形を制作される以前の油彩画を含む44点もの
作品を一挙に見ることができるという
とても貴重で、満足のいく企画展でした。
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(何故か喫茶コーナーにポーズをとるゴジラさんがいました)
megさん、今回も5時間以上おつきあい頂いてありがとうネ!

nice!(41)  コメント(13) 

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コメント 13

トロル

以前世田谷住民だった頃、自転車で玉川上水路を北上して通ったものでした〜
常設展のエリアで、猫町のムッソーニ見ましたよ。
森茉莉さんが、白石冬美さんからプレゼントされて大事にしてた
大きいチャウチャウ犬のぬいぐるみ、見ませんでしたか♪
わたし、あのこを見る度いいのだなぁ〜と思ったものでした。うふ。
by トロル (2017-06-08 16:44) 

うっかりくま

トロル様
ムットーニ作品を所蔵しているとは、さすが世田谷区!
企画展に時間を使いすぎてコレクション展もスルーし、
常設展示もあったのかしら(笑)・・という状態だった
ので、残念ながらぬいぐるみには出会いませんでした。
面白い企画があったら再訪して探してみたいです♡
やっぱり都会はいいなあ。(しみじみ)

by うっかりくま (2017-06-08 21:42) 

lequiche

たしかに世田谷文学館も充実していますね。
ムットーニは寡聞にして知りませんでしたが、
とても面白そうです。
それとサイトを見るとコレクション紹介として
小堀杏奴の森茉莉宛書簡とか、
萩原葉子とか北杜夫とか、見たいものばかりです。
さすが文学館ですね。
by lequiche (2017-06-09 13:55) 

うっかりくま

lequiche 様
その地域に縁のあるものが寄贈されたり集められる
ので、文化的な所はうらやましいなあと思います。
そうでない所は一般には知られていないマニアック
な人の研究ができる可能性もありますが(^^;)。
ムットーニさんもちょっとマニアックです。
アナログで木訥、昔のサーカスの様な趣があるので、
好みは分かれるかも?正面からでないと見辛い為
混雑する土日はご本人による口上もあるとか。
全部しっかり見ようとすると2時間以上かかるので、
時間に余裕がある時に見ることをオススメします。

by うっかりくま (2017-06-09 23:53) 

DON

近所です(^_^;)
by DON (2017-06-10 00:24) 

うっかりくま

DON様
DONさんの縄張りに侵入してしまいスミマセン。。
マンションだけじゃなく老人ホームまでお洒落で
改めて高級住宅街なんだ~と思いました。
文学館のエントランスでパソコンに向かっている
人がいて居心地良さそうだったので、近かったら
喫茶店代わりに通いたい所です。←遠いのでムリ
by うっかりくま (2017-06-11 01:47) 

green_blue_sky

ゴジラがいますね(^▽^;)
アジサイ、品種が多いです。
新宿御苑のアジサイ、あちらこちらにあり、いろいろなものがみられます。
人も多いですが(笑)
千葉だと一部だけです~
by green_blue_sky (2017-06-11 07:18) 

ちぃ

「カチ・・・コチ・・・カチ・・・コチ・・・」
読んでいるだけで異空間、異次元に誘われて行くかの様でした。
宇宙空間に流れるあのゆったりと甘い旋律の
カヴァレリア・ルスティカーナ!!
そう来たか〜と膝を打ってしまいました。なんて素敵な展示会♪
各都市巡回はしない展示会の様ですね〜。残念です。
by ちぃ (2017-06-12 20:15) 

JUNKO

ぜひ行ってみたいです。東京で文化の香りに触れないと本当に蝦夷地の原住民になってしまいそうです。
by JUNKO (2017-06-12 21:53) 

うっかりくま

green_blue_sky 様、新宿御苑は四季折々の花が
楽しめるのですね。20年以上前、仕事で近くを
通ったついでに桜の花見をして以来行ってない。。
新海誠監督の「言の葉の庭」の聖地にもなったので
再訪してみたくなりました。

by うっかりくま (2017-06-12 21:59) 

うっかりくま

ちぃ様、ありがとうございます。ほんとに
入口からもう、感動してしまいました(笑)。
ここまで大規模なものは珍しいと思いますが、
数点なら時々展示されており、図録によると
阪急梅田や六甲オルゴールミュージアムで
初公開された作品もあるようでした。

by うっかりくま (2017-06-12 22:13) 

うっかりくま

JUNKO様、ありがとうございます。
ブログを通して住んでいる所にしかない良さが
あるのを気づかされ、少しは探すようになりましたが
(笑)都内は数が違いますね。自分も在住ではないし
チケット代も高いので、行きたい所を厳選してハシゴ
しています(笑)。

by うっかりくま (2017-06-12 22:26) 

meg

本日、再訪して来ました。
やっぱり、ご本人の「口上付き」は大人気のようで、会期終了近くの日曜とも相俟って100人位お客さんがいたように思います。
「ヘル・パラダイス」は遅れた展示後もトラブルが続いて止まったりしていたそうですが、今日はばっちり動いていました。仕掛けもますます大掛かりになり、6分間のドラマを堪能。
混んでいたため前回よりも拝見する場所や条件は良くなかったのですが、改めて年数が経つにつれ複雑化&迫力が増しているムットーニ・ワールドを実感できました。
(あ、「蜘蛛の糸」の展示はお休みになっていました。カンダダさんも疲れちゃったのかな? ^^)
by meg (2017-06-18 19:02) 

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