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記憶について~スローターハウス5 [本・漫画など]

最近、記憶力の衰えを痛感している。

何日か間が空くと、本の続きを読もうとしても内容を思い出せなかったりする。

新しく苦労して覚えた知識はあっという間に忘れてしまうのに、

中学受験の為に四谷大塚で習った事はいつまでも覚えていたりする。

子供の頃の記憶ほど忘れないのは脳に刻まれた順番、それとも印象の強さに因るのだろうか。

野バラ花束.jpg

(↑木香バラ)

ご自分のお子さんを認識できなくなった認知症の方と接するうち、思ったことがある。

その方達は90才を超えているが、ご自分の年齢を50代位だと思っている方が多い。

 だから、60才以上になった娘は自分にとって「見知らぬ人」か

「自分より年上の親戚や姉」、自分を知っているらしい「近所のおばさん」なのである。
そして、何十年も前の出来事をつい昨日のことのように悲しんでいる。
なぜ50代かについては、人生で一番記憶に残る節目の時期だからかと思っていたが、
もしかするとそれは記憶力が顕著に衰え出した年齢だからで、
そこから後のことは記憶が薄れて、その年齢で止まっているのではないか、と。
否定的な事ばかり取り上げられがちな認知症ではあるが、
遠からず訪れる命の終わりに際して、クリアーなままでは耐えがたい恐怖や苦痛を緩和し、
幼い頃に意識を連れ戻してくれる恩寵の様な側面もあるのかもしれないとも思う。
だから、現実について正しい認識を持たせようと説得することよりも、
その方にとっての真実を否定せず、心安らかな状態でいて頂くことが大切で、
それだけで問題行動と言われる周辺症状が穏やかになることもある。
庭の芝桜.jpg
小学校時代の同級生二人と久しぶりに話をしたときに、
三人とも記憶に残っている出来事が全く異なっていて驚いたことがある。
記憶の主体が異なると、同じ時間に同じ体験をしても違う形となって定着していく。
チューリップ達.jpg
また、自閉症の人の中には写真を撮るように細かく正確に記憶してしまう人がいる。
そのために消えない記憶に苦しんでいるように思えることがある。
いつも変わらず同じ場所、同じ手順でないと、少しでも違うと落ち着かない。
嫌な体験は何かのきっかけでフラッシュバックしてしまい、
今起きていることと区別がつかないくらい
明確に現実的に感じられてパニックを起こしてしまう。
場所も手順もいつも大雑把でテキトーな自分には到底思い及ばない、
全てがきちんと整った世界に住んでいるのではないかとも思う。
チーリップ拡大.jpg
そんな記憶の不思議さについていろいろと考えていた時、
カルト的人気があるという半自伝的SF小説「スローターハウス5」を読んだ。
スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302)

スローターハウス5 (ハヤカワ文庫SF ウ 4-3) (ハヤカワ文庫 SF 302)

  • 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1978/12/31
タイムマシンに乗らずとも、ちょっとした記憶のつながりから
自分の過去や未来に何度も飛んで行き来してしまう主人公。
捕虜になって爆撃をうけ、捕らわれて異星人の見世物になる。
忘れることのできない悲惨な出来事も、社会的な成功も自分では何一つ変えられない。
全て「そういうものだ。」というひと言で締めくくられ、何事も淡々と受け入れる。
現実的には脳の損傷や心的外傷後ストレス障害が疑われるところだが、
人の記憶の仕組みや、その不思議さにも通じる所があるような気がしたのだった。
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4次元世界からロッキー山脈を眺めるように地球人の生と死を俯瞰できる異星人の視点、
その異星人には5種類の性があるという話など荒唐無稽な様でいて、考えさせられる。
動物園で繁殖行動の観察をされながらも幸せの絶頂に至ってしまう所はユーモラス。
でありながら、あまり知られていなかったドレスデン爆撃について、そのままでは
語れなかったことをSFという形にすることで、広めるきっかけにもなったという。
何かと奥が深い小説だった。機会があれば映画化されたものも見てみたいと思う。
追記:記憶の種類によって加齢と共に低下するものと比較的保持されやすいものが
ありますが、50代はちょっと早い部類かも(^^;)。
かなり個人差が大きいと思われます。

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KENT0mg

自分の脳について考える機会を与えていただいたような気がします。身体の部位や臓器に声をかけたり、気を使ってあげることも大事かもしれませんね。
50代を大切にします。^ ^
by KENT0mg (2017-04-26 06:23) 

うっかりくま

KENT0mgさん、早速のコメントをありがとうございます。
現在本文の記憶間違いを訂正しています。下書きにしておけば
良いものを不確かなまま投稿する悪癖があり、すみません。。
50代になって記憶力は崩壊しかかっていますが、今まで考えなかった
ことに気がつく事も増えたように思います。といっても単なる個人的
な感想で何の根拠もデータもないのですが(^^;)。
自分の臓器に気を使ってあげる・・他人だけでなく自分にも優しくする
ことを心がけたいですね。←考えたことがなかったので感謝です!



by うっかりくま (2017-04-26 07:48) 

トロル

この投稿を読みながら、「主体が異なると」それぞれ違った記憶として残り定着していく…その当たり前でありながら、不思議な事実を改めて実感しました。その積み重ねが微妙なズレとなって多様な現実となってる。たくさんの人と居ると疲れた…と思うことも多いのですが、面白いと捉える余裕も残しておきたいな。
それとね、お花の寄った写真。この内容に差し込まれてるのが、自分のこころを内側から発したものを、出してから、なるべく発言する前に客観的に分析して、直感と感覚のバランスをとる自分の癖の理由などを思い起こす切っ掛けとなりました。
いろいろ個人的に面白かったです〜( ´ ▽ ` )ノ
by トロル (2017-04-26 10:57) 

little_me

記憶力わかります。
日常でもそうですが、本は本当にしばらく遡って読まないとこの人なんだっけ状態に・・・。
で、読み返してるうちに眠くなり、なかなか進まないという・・・(^^;
by little_me (2017-04-26 11:34) 

うっかりくま

トロルさん、ありがとうございます。
そうですね。現実が人によって違うなんて子供の頃は考えず、
単純に白黒つけようとしていたように思います。
そういえば、トロルさんのよく見るという汚いトイレや知らない風景
の夢は私も子供の頃からよく見ます。食べ物の夢も・・ちゃんと食べて
おいしい・・と思ってから目が覚めます(笑)。夢と記憶の関係も
調べてみると面白そうですね。


by うっかりくま (2017-04-26 12:07) 

うっかりくま

little_me さん、ありがとうございます。
はあ~、私だけでないのですね。お年を召してもクリアーな
方はたくさんいらっしゃるので個人差が激しいと思いますが、
長編小説や名前が長い翻訳ものは読むのがきつくなってきた
・・あ、でもそれは昔からだったかも?(笑)

by うっかりくま (2017-04-26 12:14) 

リュカ

興味深く読ませていただきましたm(_ _)m
小さい頃の記憶はほんっと強く残ってます。
それでもきっと都合の良いように書き換えられてるんだろうなーとは思うんですけどね^^
最近のことは忘れちゃうなー。
印象に残るような生活をしてないんだなって考えることがあります。
家と会社とのルーチン生活で、一年もあっという間だし^^;
父はガンで、もう手術も出来ないのですが、すでに記憶力も曖昧なので、あえて余命のことは言ってません。笑顔で暮らしてますよ(笑)
あまりの脳天気っぷりと、横柄っぷりに母のストレスがMAXですが^^;
by リュカ (2017-04-26 16:19) 

うっかりくま

リュカさん、ありがとうございます。仕事の事はあまり書かない
つもりだったのですが、ブログはいろいろな状況の方が読むことを
前提にしないと無意識のうちに失礼な事、傷つけてしまう事がある
と反省しています。自然に明るくいられるのは、とても素晴らしい
と思いますし、「ありがとう」の一言があったら尚嬉しいですね。
自分自身、問題山積なのに先送りして向き合えていません。。

by うっかりくま (2017-04-26 20:33) 

ぼんぼちぼちぼち

何故50代だと思っておられる認知症のかたが多いのか
なるほど、そういう理由なのでやすね。納得でやす。
確かに50代になると ぐっと記憶力衰えやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2017-04-26 21:44) 

うっかりくま

ぼんぼちさん、ありがとうございます。
これは50代になった自分の勝手な推測ですので・・。
でもその辺りから積極的になっていく方もいらっしゃる
ようで、個人差が大きくなるようにも思います。
認知症になられた方達も、私の知る限り皆さん優しくて
ユーモアもあり、長い間真面目に実直に生きてこられた
方々なので、私はとても尊敬しています。


by うっかりくま (2017-04-26 22:14) 

sana

若い頃は記憶力が良かったという記憶はまだあります。
嫌なことも忘れられなくて、けっこう大変でした。
今は子供の頃の記憶も穴だらけ! 覚えている部分は鮮明なのですが。
「スローターハウス」を読んだかもしれないんですが‥ぜんぜん思い出せず‥同じ作者の他の本の可能性もあります^^;
子供の頃は新鮮に受け止め、大人になると似たようなことを何度も経験しているから印象が薄く、特に短期記憶はスペースが限られているので一部は抜け落ちる、といった説を前に聞きました。どうなんでしょうね~?
by sana (2017-04-26 22:41) 

lequiche

どこかで読んだんですけど、
読書の記憶っていうのは大体14%とか17%とか、
大体そのくらいとのことです。残りは忘れちゃう。
ですからしばらく経ってから同じ本を読んでみると
全然覚えていない新鮮な部分があったりします。
メモすることによって
そういうことを少しは防げるんじゃないかと思って、
それがブログを始めたきっかけのひとつです。
(つまり自分のための備忘録ということです)

でも人間の記憶容量っていうのはある程度決まっていて、
無理矢理に脳に記憶させるのは無理なんだと思います。
私が中学生とか高校生くらいの頃、
まだ本が本箱一箱分 (数百冊) くらいだったときは、
どの本のどのへんに何が書いてあるか大体覚えていました。
でも本が増え過ぎた今は、もう不可能です。
必要のない情報は忘れるか、もともと覚えない、
という選択も必要ですね。

それと 「四谷大塚で習った事」 という、
妙に具体性を帯びた書き方にリアリティがあって、
思わず笑ってしまいました。(^^)
by lequiche (2017-04-27 02:46) 

うっかりくま

sanaさん、ありがとうございます。
「記憶力が良かったという記憶はまだある」!それだけでもいいか(笑)。
前に読んだことのある本をまた買ってしまったときには青ざめました。
エピソード記憶は残るけど勘違いや抜け落ちが増える・・というのが
自分の現状にぴったり(^^;)。ちっちゃい脳みそには期待せず、外部
メモリー保存で脳の負荷を軽くしていけば大事なことはまだ入るのかな?


by うっかりくま (2017-04-27 21:57) 

うっかりくま

lequiche さん、ありがとうございます。lequiche さんというと、 
誠に勝手ながら大量の情報を きっちり細部まで覚えていらっしゃる、
蔵書部屋に寝起きしている「知の巨人」のイメージがあります。
その上、相手のレベルに合わせてわかりやすく教えて下さるので、
シャール君みたいな大金持ちだったら家庭教師をお願いしたい。。
覚えなくていい事もあるとお墨付きを頂き、よっしゃ!です(^^)。
四谷大塚もかつての勢いはないので地域・時代限定ネタでしたが、
どういうわけか学校は遊んでいた記憶しかなく、勉強らしい事では
「4科のまとめ」等がトリビア的に楽しくてワクワクしていました。
喜怒哀楽に結びついていると忘れないという典型なのかもしれません。

by うっかりくま (2017-04-27 22:26) 

green_blue_sky

お花の名前ありがとうございます。
見ていても記憶が曖昧(^_^;)
by green_blue_sky (2017-04-28 06:24) 

tarou

竜ヶ岩洞(後編)にコメントを有難うございました。
大きな鍾乳洞では有りませんが、自然がたくさん残っています。
コウモリも飛んでますが、カメラで写すのは無理だったので、
吊るしてあったものを写しました。

記憶について、興味深く読まして頂きました、
年齢とともに記憶は薄れて行くのが良いのかなと、
最近は思うようになって来ました。
パソコンのハートディスクの容量は4Tを超え
どんどん増えています。


by tarou (2017-04-28 07:47) 

うっかりくま

green_blue_sky さん、こちらこそありがとうございます。
イベリス、自分もどこかに記録しないとすぐ忘れてしまいます。
家のは寄せ植えの中で唯一生き残った丈夫な株のようですが、
撮り方次第であんなにきれいに見えるのかと思いましたヨ(\^^/)



by うっかりくま (2017-04-29 19:44) 

うっかりくま

tarouさん、元・地質部のせいか鍾乳洞大好きなもので(笑)。
コウモリにはあまり遭遇したくないですが、数年前自宅の戸袋に
コウモリの家族が住んでいたらしく、家の天井に張り付いて
外に出すのに苦労しました。(洞窟に住んでいる訳ではないです)
記憶が鮮明でない方が幸せかも、と思うことも確かにありますね!
そういう自分に折り合いをつけていかないとしょうがないですね。
by うっかりくま (2017-04-29 19:52) 

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